どの科目で合格を狙うべき?
~税理士試験の税法科目について解説!~
税理士試験の勉強をされている方、これから税理士を目指して勉強を始めようという方の中には
「税法科目はどの科目を受験するのが良いのだろう?」と迷ってしまう方もいらっしゃると思います。
どう判断して科目を選ぶか、
就職・転職活動の時に応募先では合格科目をみてどう判断されるのか、
これらを踏まえ、2通りの考え方をご紹介します。
①実務重視(事務所の関与先の役に立つ、実践で必須の科目)
・法人税法
国内の企業(会社)数は約421万社あり、
一般的な税理士法人・税理士事務所・会計事務所の関与先は、中小企業(国内の企業の99.7%)が中心です。
法人税法は会社の所得に対して課税される税金ですので、実務で必須と言っても過言ではありません。
・所得税法
日本国内の給与所得者数だけをみても約5,000万人。
その内源泉徴収で所得税を納税しているのは約4,500万人です。
所得税は給与所得以外にも個人の所得に対して課税されるものなので、実務で必須と言えます。
・消費税法
事業会社・個人商店が行う取引はほぼ消費という行為に該当し消費税が課税されると言えます。
消費税法も実務で必須と言って過言ではありません。
・相続税法
原則として死亡した人の財産について課税される税金で、近年の法改正により支払対象者が増えています。
実務で相続税の対応を行う可能性があることを考えると役立つ科目と言えます。
②早期合格重視(とにかく早期5科目合格を目指す為の科目)
※選択必須科目以外の税法科目のみ説明していきます。
・住民税法(参考:2020年8月税理士試験科目別合格率18.1%)
税法科目としては、法人税法に次いで高合格率の科目で、
選択必須科目以外の科目の中でも学習ボリュームは少ないほうです。
法人や個人の所得に対して課税されるもので、所得税と学習範囲が重複する部分もあることも含めると、
所得税法を学ばれる場合は効率よく学べる点から合格を狙いやすいと言えます。
・酒税法(参考:2020年8月税理士試験科目別合格率13.9%)
学習ボリュームが税理士試験科目全11科目の中で最少の科目です。
計算問題と理論問題の比重が計算問題70%理論問題30%と暗記が苦手な方にはお勧めと言える科目でもあり、
ボリューム的に軽い点から取り組みやすいと言えます。
・固定資産税(参考:2020年8月税理士試験科目別合格率13.5%)
土地や建物などの不動産に対して課税されるものです。
出題される問題は幅広いものですが、過去の試験問題に類似した問題が多く、
傾向が安定している為学習しやすい点から早期合格を狙いやすい科目と言えます。
・国税徴収法(参考:2020年8月税理士試験科目別合格率12.2%)
税金を滞納した場合にとられる措置を学習します。
全ての税金の徴収の基となる為、他の税法の理解が深まると考えることができます。
計算問題が無いものの、学習ボリュームが少なく税理士試験科目選択の制約もない為、
早期合格を目指す方にはピッタリの科目と言えます。
実務で使う頻度を重視して受験科目を選ぶか、
とにかく早期合格を目指して受験科目を選び、選ばなかった税法は実践で覚えていくのか、
早期合格を優先した場合、就職・転職の面接で選択した科目について質問があっても
しっかりとした意図やご自身の計画・目標等を伝えられれば、応募先によっては理解してもらえる可能性が高いです。
もちろん実務重視で合格した場合も『科目を選んだ理由』は質問されることが多いので、
しっかりとした返答を用意する必要はあります。
受験科目を選ぶ際も、面接時の返答内容も、しっかりと考えて準備を整えておきたいですね。